伊予銀行VERTZ　安川 裕美選手

伊予銀行VERTZの安川裕美（やすかわ　ひろみ）です。ポジションは捕手です。

私がソフトボールを始めたのは、小学生の頃。2つ上の兄のソフトボールの練習について行ったことがきっかけでした。それ以来ずっとソフトボール一筋、小学6年生からは捕手一筋でやってきました。

中学は地元のクラブ、高校は強豪校、大学は日体大でソフトボールを続けてきましたが、大学卒業後は教師になることを考えていました。しかし、大学4年生で教育実習に行った際、知識量の面でも人間性の面でも「教師はまだ早いな」と感じたのです。ソフトボールをまだ続けたいという気持ちもあったため、その時点で教師になることはやめ、ソフトボールをやっていくことを決断しました。

とはいえ、その決断をしたときには各チームのセレクションはすでに締め切られていました。しかし、大学の監督を通じて伊予銀行VERTZからチャンスをもらえることとなり、入団することができました。

ソフトボールの魅力は、野球にはないスピード感や泥臭さがあるところだと思っています。野球に比べて、ソフトボールはグラウンドが狭いという特徴があります。その狭さゆえに、ヘッドスライディングをしたりフェンスに突っ込んだりしながらも、フライを最後まで追いかけるような泥臭さが必要で、そこが面白いと感じます。

チームスポーツだからこそ感じるやりがいも大きいです。技術力では劣るものの、格上のチームにチーム力で勝てたときはすごく嬉しいですし、チーム力が重要だからこそ思いもよらない展開になる面白さもあります。

伊予銀行VERTZは本当にいいチームです。メンバーは、優しすぎるんじゃないかと思うくらい優しくて、困っている人を放っておけない人ばかりです。チームスポーツをする中で、「どんな発言や行動をしても大丈夫」と感じられるような心理的安全性がチームに浸透していることが大事だと思っています。そのためには各々が人のために尽くすことが必要ですが、それが当たり前のようにできる優しいメンバーばかりなので、本当にいいチームだと実感しています。

チーム加入2年目である2021年度は、日本女子ソフトボールリーグの個人表彰選手に選ばれました。これもチームのおかげだと思っています。

活躍の秘訣は、頼ること。チャンスを伺っては通りすがりの先輩を引き止めて、バッティングを見てもらったりしていました。チームメンバーにも監督にもたくさん頼って、結果がなかなか出ないときもみんなが自分を信じていてくれたからこそ、活躍することができたと思います。

自分自身、人にうまく頼ることができずに苦しい思いをしたこともありました。でも、自分が焦っていることはチームメンバーが見たら分かりますし、メンバーはそんなときに頼ってもらえなければ、「信頼されていないのかな？」と不信感を持つかもしれません。自分が頼ることで、逆に相手も「頼っていいんだ」と安心感を持つことができます。だから、頼ることは自分のためだけでなく、相手のためやチームのためにもなるんです。どんどん頼って、甘えて、弱さも見せるようにしています。

人に頼ること以外に、自分個人として大事にしているポリシーがあります。「自分に嘘をつかない」ということです。例えば、バッティング練習で周りから「ナイスー！」と言われても、自分が納得できなければ続けるとか、チーム内で思ったことは正直に言うとか。思ったことを言わずに、その結果チームが負けたら後悔するからです。練習や話し合い、あらゆる場面で自分に嘘をつかないようにしています。

今までは先輩に頼るシーンが多かったですが、これからは後輩も増えます。中堅の役割を果たし、チームの中で頼られる選手になっていきたいです。

先輩からは、「安川頑張れよ！」と頼ってもらえることが多いのですが、思ったことをズバッと言うからか、後輩にとってはあまり親しみやすい存在ではないのかもしれません。今までは自分が後輩だったから、先輩がしてくれていたこともたくさんありますが、今度は自分が面倒を見たり、言葉をかけてあげたりと、頼れる先輩になりたいと思っています。もちろん言葉だけでなく、結果を残す姿でも、頼れる存在であることを示していきたいです。