愛媛FCレディース　桜井 由衣香選手

愛媛FCレディースの桜井 由衣香（さくらい　ゆいか）です。ポジションはフォワードです。今年（2022年）で入団8年目、大分県出身です。

私がサッカーと出会ったのは、5歳の頃。兄がサッカーチームに入っていて、練習場についていくうちに私もプレーするようになりました。私は小さい頃から大の負けず嫌い。学校から帰ってきたら玄関にランドセルを置いて、すぐに外へサッカーをしにいっていました。「兄には負けないぞ！」という気持ちで毎日楽しくボールを蹴っていた記憶があります。

愛媛に来ることを決めたのは、高校3年生の時。それまでは地元のクラブチームでプレーしていたのですが、より良いサッカー環境を求めて、大分を出たいと考えていました。その時、サッカー関係でお世話になっていた方の紹介で、愛媛FCレディースの練習体験に参加しました。そこでは、パスをつなぐサッカースタイルや、選手同士が分け隔てなくにコミュニケーションを取っているチームの雰囲気に魅力を感じました。練習生である私にも、選手たちはチームメイトのように接してくれて、アットホームな空気感がありましたね。それが決め手となって愛媛県の短期大学に進学し、愛媛FCレディースへ入団しました。

私は、住宅会社（株式会社プラスワン）にて事務の仕事をしています。仕事を終えたら練習場に向かう日々を送っています。職場の皆さんは「頑張ってね」と声をかけてくれたり、社長は毎回ホーム戦に応援に来てくれたりと、会社全体で私を応援してくれています。サッカーに対して興味を持って、私を支えようとしてくれる会社の雰囲気が本当に嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいです。

2020年2月、人生で一番大きな怪我をして、初めて手術を経験しました。復帰には2年ほどかかり、サッカー生活の中で一番辛い経験でした。リハビリ生活ではなかなか先が見えず「もうサッカーが出来ないのかな？」という思いを抱えながら、一日一日を乗り越えるのが精一杯な日々が続きました。練習場から帰る車内で「もう頑張れない」と泣いてしまうことも。そんな辛い時に一番の支えになったのが、家族や仲間の存在でした。周囲の人たちのサポートのお陰でリハビリ生活を終え、2021年8月に復帰。ピッチに戻ることができた時は本当に嬉しくて、感謝の気持ちが心の底から湧いてきました。この経験によって、支えてくれる人たちの存在の大きさに改めて気づかされました。また、怪我をしている選手の気持ちもわかるようになったので、故障中のチームメイトにはこれまで以上に声をかけるようにしています。

2021年のシーズンは、愛媛FCレディースにとって大変な時期でした。選手同士で意見がぶつかり合うことが多く、何度もミーティングを重ねました。そういった時期を経たからこそ、今では先輩後輩の関係なく積極的に意見のすり合わせをするようになり、チームに一体感が出てきています。プライベートでも冗談を言って笑い合うシーンが多くなって、チームのムードが良くなっているのを感じています。メンバーそれぞれに思うことがあって、一人一人が「より良いチームにしたい」と行動していった去年の経験が、今に繋がっていると思いますね。

チームの目標は、なでしこリーグ優勝です。メンバー全員が一丸となり、目標に向かって頑張っているところです。私自身は、なでしこリーグ100試合出場達成を目指しています。これら2つのゴールを目指しながら練習に打ち込んでいます。

愛媛FCレディースに所属して8年が経ち、私はチーム内で年上の方になりました。先輩として「支えてくれている人たちをリスペクトして、感謝の気持ちを大切にすること」を、後輩に伝えていきたいです。働きながらサッカーができているのは、周囲のサポートがあってのこと。行動と態度で、後輩たちに良い影響を与えられたらいいなと思います。

25歳という年齢になっても、サッカーを通じてたくさんの方から応援してもらえることが、何よりも嬉しいです。サッカーをしていなかったら、ここまで人とぶつかり合うことも、応援してもらえることもなかったと思います。このスポーツが好きで、うまくなりたい。その一心で、私のすべてをサッカーに捧げてきました。もちろん、うまくプレーできずにイライラする時もあります。ただ、サッカーでの悔しい思いは、サッカーでしか消化できないんですよね。自分や仲間が点を取ったり、試合に勝ったりすると、その一瞬の喜びで、それまでの悔しさが全部プラスになる。その感覚が忘れられなくて、私はプレーを続けているのだと思います。

勝っても負けても、あたたかく応援してくれる皆さん。いつも支えてくださってありがとうございます。愛媛の方々は優しいのでとても嬉しいですが、そこに甘えず、勝ち点3を取ってサポーターの皆さんともっと一緒に喜び合いたいです。これからも応援よろしくお願いします。