伊予銀行VERTZ 庄司 奈々選手

INTERVIEW

伊予銀行VERTZ
庄司 奈々選手

現在在籍中

「できないことはない」と思わせてくれたソフトボール

愛媛県松山市出身の庄司奈々(しょうじ なな)です。女子ソフトボールチーム「伊予銀行VERTZ」でピッチャーをしています。兄の影響から、物心ついた頃にはグラウンドでソフトボールを触っていました。小学校3年生で、ソフトボール部に入部しました。

中学校の県大会での優勝が、ソフトボールを好きになったきっかけでした。ソフトボール未経験者が多いチームでしたが、「絶対優勝する」という目標を掲げ、3年間厳しい練習を続けて優勝候補のチームを下しました。無理だと思っても、諦めないで闘い続けたら、優勝という結果がついてきた。「できないことはない」と思った瞬間でした。更に強いチームでプレーしたいと思い、名門の済美高校に進学しソフトボールを続けました。

ソフトボールは、1人では成立しないスポーツ。全員で1個1個のアウトを重ねたり、試合を決める1打で打線を繋いだり……1人ではできないことを、チームで成し遂げる楽しさがあります。野球と違って、スピード感があるのもソフトボールの魅力の1つです。ピッチャーの球速や目まぐるしく変わるゲーム展開など、野球とは異なるおもしろさがあります。

日本リーグの強豪選手を前に、自信を失った3年間

地元愛媛でソフトボールを続けたい、愛媛国体で優勝したいという思いから、伊予銀行に就職しました。入団して最初の3年間は、自分の実力の無さを痛感しました。日本リーグには、上野選手や後藤選手などオリンピックで活躍する選手が大勢います。当たり前ですが、リーグは実力の世界。結局は、実力のある選手が集まるチームが勝ち進むんだと諦めかけていました。投げては打たれを繰り返し、「この選手達と対等に闘えるのかな……」と不安な気持ちで日々練習していました。

自身のマインドが変化したのは、2017年の日本精工との開幕戦。ピッチャーとして抑え、打線の応援もあり、チームは5-1で勝利しました。同じ年に、愛媛国体でも優勝することができました。この成功体験を転機に、以前よりも自分を信じて思い切った投球ができるようになりました。
私は、器用な人間ではありません。「これをやりなさい」と言われて、簡単に習得できるタイプではないため、コツコツと繰り返し練習をします。今は、自分に何が足りないかを分析し、常に考えて練習することで、不安を解消しています。

エースとして、最年長選手としてチームを牽引したい

伊予銀行VERTZは、スーパースターがいるチームではありません。「チームのために自分のやるべきことをする」という精神で、全員が力を振り絞り、チームワークで勝利を目指します。一方で、優しい選手が多いため、厳しさに欠けることも。強いチームになるために、時にはお互いに指摘しあうことも必要です。

2021年は、リーグ9位という結果に終わりました。昨年よりも打率や防御率を落としてしまい、競合チームに負けたことが順位を落とした要因です。接戦が多いソフトボールの試合では、1点の差で勝敗が決まります。大事な場面で失点し、最後の1点が追いつけないというシーンが多々ありました。他チームの外国人ピッチャーの活躍により、打点を上げるのが難しい状況で、ピッチャー陣は粘り強く投げ、失点を抑えることが求められます。

粘り強さにかけるという点は、私自身の課題でもあります。今シーズンは、ゲーム終盤に投球のキレやスピードがなくなり、打たれる場面がありました。来年に向けて、体力、技術、戦術を見直しています。下半身と腕力を強化し、下半身主導のフォームで力強い投球を目指したいです。

メンバーは、私をエースとして頼ってくれていますが、私は満足していません。メンバーから安心して頼られる存在になり、勝ちでチームに恩返ししたい。それでこそ、本当のエースだと思うんです。

来年、入団9年目を迎えます。ベテラン選手が抜け、若い選手が増えるなかで、技術面だけでなく、精神的にもチームを支える必要があります。チームの良さを活かし、「地域に貢献する」という活動理念も継承していきたい。最年長選手として、会社の意思も繋いでいきたいですね。

地元愛媛のファンは私たちの自慢

愛媛では、練習試合や交流戦が少ないため、環境面で不利に感じることはあります。地方にいると、強いチームのレベルを知る機会が少ないというデメリットも。一方で、職場の方をはじめ、地元の方々にチームは支えられています。応援に来られない時も、お手紙や差し入れをくださり、ファンの温かさを肌で感じます。選手のことをよく理解し、時には喝も入れてくださる。伊予銀行のソフトボール部が存続できているのも、この恵まれた環境があるからだと思っています。

パフォーマンスで観客を魅了し、ソフトボール界を盛り上げたい

2022年3月に、新リーグである「ニトリJDリーグ」が開幕します。東西に分かれて戦うトーナメント戦で、プレーオフに勝ち進むことが目標です。今まで見たことのない景色を、チーム全員で見てみたいと心から願っています。

そして、JDリーグを通じてソフトボールを見てくれる人を増やしたいです。東京オリンピックでの日本代表の活躍により、メディアへの露出も増え、一時的に注目されましたが、ソフトボールはまだまだマイナースポーツ。北京オリンピックを知らない若い世代には、選手の名前を知らない方もいます。もっと大勢の人に、ソフトボールや選手を知ってもらい、競技人口増加に繋がれば嬉しいです。

私は、ソフトボール選手であると同時に、エンターテイナーでもありたいと思っています。まずは、自分達の試合に勝ちながら、プレーで観客を魅了できるようになりたい。JDリーグ元年を、自分達の手で盛り上げていきたいと思います。

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